新車の商談はただ黙っているだけでは値引きはしてくれません。
かといって『値引きして!』と言えばいいわけでもありません。
商談なんて年中するもんじゃないからやり方も商談の流れもよくわからないですよね。
私は元カーディーラーの営業だからこそ、売る側の”痛いところ”も熟知しております。
この記事では私のディーラー営業人生で吸収した車の値引きの極意全てをギュッとを7つにまとめて惜しみなく書き尽くしております。
これを頭のどこかにおいて商談を進めれば間違った方向には進まないと思います。
これから車の商談を始める方、商談中の方も商談のコツがたくさん書いてあるのでぜひ読んでいただければ損はないと思います。
目次
極意1:商談は1回目では絶対に決めてはいけない
私がディーラーで営業をしていた時に一番実感したのが『商談1回目で決める人がメチャクチャ多い』という事です。
もちろん営業スタッフもその日に決めてほしいので『今日決めてください』という方向に追い込むので当然と言えば当然なのですが。
『仕事で毎日商談をしているプロの営業』VS『何年かに1回車を買う商談の素人』ではどちらが商談が上手かはいうまでもありません。
ここで一つわかったのが、大きな値引きを引き出すお客さんに一回目で契約する人は一人もいませんでした。
ディーラーは2回目の商談を見越して値引きを残している
正直な話、1回目で決まる商談の値引きは大きくありません。
なぜなら営業は1回目で決まらなかった場合も考え、2回目の商談の為に必ず値引きを残しているから。
『1回目で値引きは出し切るな』このように営業方法として教育されます。
最初から手の内を全てさらけ出す営業マンはいません。
そもそも1回目の値引額は最悪『他店に持ってかれてもいい値引額』しか出さないから。
よく営業が言う『僕は駆け引きが嫌いなんで一発で値引きを全て出します。』というセリフは営業の常套句ですので真に受けないようにしましょう。(私もかなり言っていた)
だからってただ商談を2回に分ければいいってもんじゃない
ただ単に1回お店に行ってさらっと商談して2回目の来店で値引きが大きくなるという訳ではありません。
営業スタッフは日々お客さんと接していますから『今日買うかもしれないお客さん・今日買わないお客さん』は5分も話をすればわかります。
『今日買わないお客さん』には絶対に値引きは出しませんので商談を2回にわけても全く意味がありません。
あくまで『今日買うかもしれないお客さん』判定されてしっかり商談して値引きが出て初めて一回目の1カウントです。
しかし値引きが出た商談では営業マンは簡単には帰してくれませんので心しておきましょう。
その値引きを持って他のお店に駆け込まれるのが一番困りますからね。
それを頑なに断って話を持ち帰って初めて2回目の商談以降でどんどんで大きな値引きが生まれるのです。
と泣きながら営業に懇願されても頑張って1回目は決められないと話を持ち帰りましょう。
ポイント
営業があまりにもしつこく切り上げられない場合は『まだ他の車も気になっているから今日は決められない』と答えて1回目の商談を切り上げましょう。
他の車が気になっているというのは営業ではどうにもできないですからね。
このフレーズが一番有効です。
極意2:『今日買う客』と思わせる事が重要
極意1で解説した通り、まずは『今日買うかもしれない客』と営業に思われなければ話は始まりません。
商談を始めると営業マンに最初に必ず聞かれる事があります。
営業マンに聞かれること
- 車種・グレードは決まっているのか(競合車も含め)
- 家族構成・使用シーン(通勤に使うのか週末だけなのかなど)
- いつまでに欲しいのか
- 予算はいくらぐらいか
最後の『予算はいくらぐらいか』を除いて、これらの情報が一つでも曖昧に答えると営業マンからすれば『すぐには買わない客』と判定されます。
つまりその日は値引きは出してくれません。
まずは営業マンに『今日買う客』と思わせる事が超重要。
面白い話ですよね。今日買うふりして今日買うなっていう矛盾です。
でも『今日買う客』と思われれば1回目の値引きである『ファースト値引き』がしっかり出せるのです。
『今日買うと思わせて今日買わない』これ重要です。
『今日買う客』と思わせるにはどうすればいいのか?
『今日買う客』となるコツは上の表にある情報を聞かれる前に自分から伝える事です。
特に重要なのはこの『自分から』というところです。
この積極性が大事であり、これだけで『今日買う客』になれるのです。
しかし残念な事にこれをできているお客さんは超少ない。
簡単そうに思えますが、いざ話をしていると『契約まで話が進んでしまうんじゃないか』などの不安や警戒心からなかなか営業マンに心を開けず、これらの情報が決まっているにもかかわらず教えてくれない事があります。
本当にもったいない。
これでは自分から値引きを出さないようにしているようなもの。
そしてあなたが警戒すると営業マンも警戒し、警戒していると話の芯がブレブレで『買わない客認定』されるのです。
でも『予算』だけは言わないでおこう
但し、最後の『予算』は絶対に言わないでください。下手に言うと場合によっては少ない値引きで話が決まってしまいます。
予算は最後の『商談の詰め』で使いますのでまだとっておきましょう。
極意3:値引きのたたき台を作る
ファースト値引きはいわゆる『たたき台』となり、これを私は『値引きの基準点』と呼んでいます。
ファースト値引きをしっかりと獲得することで次の値引きが生まれるのです。
ファースト値引きをしっかり出すには?
まずは商談が始まったら営業がひっくり返るくらい高めの値引き額を伝えましょう。
といってもこの値引額がそのまま出ると思ってはいけません。
あくまでファースト値引きを出す為のテクニックです。
とはいえどれくらいがかなり高めの値引き額なのかわからないですよね。
伝えた金額が実は少なくて値引きされてしまっては買わなきゃいけなくなってしまいますし。
とにかくぶっ飛んだ数字を!
ここでのコツはとにかくぶっ飛んだ数字を伝えましょう。
目安は見積もり総額の30%くらいの額でいいでしょう。(絶対に出ない値引額です)
それを伝えると営業は『いやいや何言ってんすかお客さん』ぐらいに言われますがそれがファースト値引きの突破口です。
次の瞬間
『では逆にいくらなら引けるの?教えてくれなきゃわからない』と切り返しましょう。
これは心理を応用しているものですが、商談には暗黙の順番みたいなものがあり、これにより強制的に自分の番から営業マンの番にしてしまうのです。
営業マンは自分から一発目のたたき台を作るのをとても嫌います。
しかしこうすることで営業マンは何らかのアクションをせざるおえません。
ここで出た最初の数字がファースト値引きであり、値引きの基準点となります。
この後は営業マンが巧みな話術と追い込みで『値引き出す代わりに今買わなきゃあなたの人生終わりですよ?』くらいの気持ちにさせて畳み掛けてきます。
ここで営業に負けてそのまま購入される方が大勢いますが、ここは買いそうになってもぐっと我慢して本格的な商談は次回にし、ひとまずファースト値引きがでたら一度持ち帰りましょう。
安心してください。営業マンも次の商談の為にまだ余力は残していますから。
ファースト値引きが出ないんだけど。。
ここで営業マンがファースト値引きを出さなかったり、数字を濁してくるような場合、あなたがまだ営業マンにとって『すぐ買う客』になっていない(冷やかしと思われている)か、まだ値引きの権限がない真面目な新人営業マンかのどちらかです。
もちろん手間はかかりますが、ここは一度切り上げ2回目の来店でファースト値引きをしっかり出すようにしましょう。
つまり来店回数が一回増えますが、着実にやらないと大きな値引きはでません。
2回目の見積りが事実上の『1回目の見積もり』となります。
しかし2回目の来店で値引きが全く出ないということはあり得ないので確実にファースト値引きが引き出せます。
1回目でファースト値引きを出すのが苦手な方はこの作戦でも良いでしょう。
とにかく『値引きの基準点』が出ていないことには『値引きの上乗せ』はできません。
なので1回目でファースト値引きが出なかった場合は来店回数が1回増えますが、次は必ずファースト値引きが出ます。
とはいえ欲をかいて商談を引っ張って4回目5回目となると、終いには相手にされなくなる可能性がありますので粘り過ぎは逆効果です。
下記の記事で詳しく触れています。
新車の商談で営業マンがなかなか値引額を出さない場合の話法
営業マンが予算をしつこく聞いてくる場合の話法を実行しても、営業マンがなかなか具体的な数字を出さない場合には以下の事が考えられます。 客が買う気があるのかないのか営業がまだ判断できていない(買わなそうな ...
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極意4:『競合見積もり』で大幅値引きを
ファースト値引きが出たら次の商談は『競合車の見積もり』を出して進めていきます。
私の経験上、競合車の見積もりを出された時が一番値引きしてました。
本当に赤字覚悟レベル、ていうか赤字になったこともあります。
目の前に『この値段を超えればこの商談が決まる』とわかりやすい金額がでていればそりゃ営業マンですから売りたいですよね。
まず営業マンは自分の持っている値引き枠を超えて大きな値引き枠を確保するには店長承認が必要となり、営業が店長を口説かなければなりません。
そしてこの競合車の見積書は営業マンにとって店長を口説く最大の武器となるのです。
店長もこれを見て値引かない訳はないのです。なぜなら店長も『売りたいから』
ディーラーにとってこの状況は『値引けば買う、値引かなければ買わない』ととてもわかりやすい状況になっています。
ディーラー同士の値引き合戦を仕掛けよう
『あれから他社のディーラーも行ってみたんだけど、この見積もり(競合車の見積もり)からさらに値引き頑張るって言ってるんだよね〜、私はあなたから買いたいんだけども、、』
などのようにあくまで『私は本当はあなたから買いたいんだけど今は競合車ディーラーの方に傾いていますよ〜』アピールをし、揺さぶりをかけます。
間違っても『これより安くするなら買ってやる』みたいなスタンスはNGです。
この時やっと営業マンは値引き合戦のスイッチが入ります。
ここで大事なのは、あなたの具体的な値引きの希望金額を伝えてください。
『〇〇円引いてくれるならすぐにでも考えたい』などとにかく具体的な数字です。
金額の目安としては今出ている値引きの2倍くらいの額を伝えましょう。(結構高め)
まず最初の目標は『上司と相談してきます』となること。
戻ってきた時に営業マンは値引き額を上司からもらっています。
しかしすぐには出さず、電卓を叩いて悩んだフリなどをして演じてくるかもしれません。
営業マンが会社から求められているのは『最小限の値引きで決める』事。
それが仕事ですから当然ですね。
しかし営業マンも出し惜しみをしすぎて競合車に流れては本末転倒。
必ずもらった値引きは出してきます。
何度も言いますがこの時のスタンスとしてはあくまで『あなたから買いたいけど値段が障壁となっている』ということを前面に押し出してください。
あまり競合車ディーラーを褒めたりひいきすると営業マンに見切られてしまいますのであくまでスタンスは『あなたから買いたい』です。
極意5:『値引きの限界点』を出す
ここで値引きを出し切るコツは、とにかく時間をかける事。つまり持久戦です。
最初は営業マンも小出しにするかもしれませんが、営業マンの時間も無限ではありませんし早く決めたいのです。
この時の時間のかけ方としてはとにかく『悩んだフリ』が有効。
ただ、実は悩んだフリがかったるくて一番難しいです。
でも悩んだフリが最強です。
『悩む行為』というのは営業マンにとって一番情報がない状態で、このまま帰っちゃうんじゃないかなどいろいろ考えてしまい、不安になります。
私も商談をしている時、お客さんが悩んでいる時はその空気を打開する為に営業側からアクションを起こす事が多くありました。
営業マンが『あなたに売りたい』となっていれば『まだ値段が障害となっていますか』など、営業マン自ら値引きを増やす方向に持ってきてくれます。
痺れるかもしれませんが悩み散らかしましょう。
ココがポイント
下手に話をすると思わぬ方向に進む可能性もありますので『悩むフリ』が一番簡単で効果的。
『2回目の上司への相談』が限界点へのカギ
2回目の上司への相談はディーラーの持っている最大の値引き、つまり『値引きの限界点』である可能性が非常に高いです。
営業マンも上司に『これでダメなら諦めろ』と言われている場合もあります。場合によっては赤字になっている可能性すらあります。
なぜなら1回目の条件相談時に営業マンがもらってきた値引き枠は利益がでる範囲でギリギリの数字である場合が多いです。
最初から赤字にはしません。
但しこのときに2回目の条件相談から営業マンが帰ってきても値引きがほぼ変わらない場合は、競合車の値引きが予想以上で1回目から限界をぶつけている可能性もあるので、そこが『値引きの限界点』であることもありますのでそれ以上しつこくするのはやめましょう。
競合車を出している上で、2回目の条件相談は『値引きの限界点』である可能性が非常に高いです。
『値引きの限界点』がでたら、ここからは値引きはあまり進展しません。
というよりこれ以上しつこいと逆効果で嫌われる可能性が非常に高いです。
つまり『決断の時』が迫っているのです。
意外と決断はできないもの
この決断は本当になかなかできません。
不安要素としては、『本当にこれが限界なのか?』『こんな高い買い物を今ここで決めていいのか?』『もっとじっくり考えなくていいのか?』などと頭をよぎるのです。
しかし車を買う上でこの不安は考えだしたら一生解決する事はありません。
ここからは『折り合い』が大事です。
どこで折り合いを付けるか。
これ以上は大した値引きもでないのに商談に時間と労力を費やし続けるのはコスト的にみて逆に高い買い物となってしまいます。
2回目の商談の2回目の条件相談で『値引きの限界点』はでているのです。
決断する時に一番重要なのは『営業マンとの相性』
値段の限界点もでていて営業マンとの相性がいいのであればこれは決断すべき時です。
仮にもう一つのディーラーの値引きの限界点が気になるとしても、そのディーラーの営業マンとの相性が良くなければオススメはできません。
あなたはこの車を買ってからは今後『営業マンのサービス』を受け続けるのです。
そのサービスの質が悪かったり、相性が悪かったりするとそれはトータルして損。
車の購入は高額な為、目先の値段だけに捕われて『車を買ってから』を見失いがち。
相性のいい営業と付き合うのは『最大の値引き』に等しいのです。
あなたのよりよいカーライフの為に営業マンは存在する事を忘れてはいけません。
極意6:最後の大詰め!計算された端数切りを
ここからは『クロージング』のやり方に入ります。
本来クロージングとは営業マン側の言葉であり、いわゆる『商談の詰め』の事。
しかしこれをこちらからクロージングするのです。
ここでは『諸費用カット』ではなく『端数切り』を使います。
まずこの段階で安いオプションかなにかで端数を意図的に調整してください。
高い端数が出るように見積りを調整するのもテクニックの一つです。
ここまでくると大きな値引きはないので「端数を切ってもらえれば今ハンコ押します」と契約を交換条件にして最後まで頑張ってもらいましょう。
但しこの切り札となる交換条件を使うのはあくまで商談の詰めの部分のみ有効ですので順序を間違えたりむやみに使うのはやめましょう。
ただし端数が全部切れなくて『端数の半分をきるのが本当に限界です』など端数を全部切れなくとも値引きをしてくれたのならそこが値引きの限界点です。
ポイント
ここで指している端数は数十万円ではなく数千円〜から良くても2万円程度までを指します。
極意7:いかに営業と良好な関係を築けるかが値引きのカギ
私が一番に伝えたいのは、営業マンも人間ですのでとにかく営業マンといかに良好な関係を商談中に築けるかが値引きの一番の近道です。
横柄な態度を取ったりせず、楽しいコミュニケーションを大事にしてください。
確かに顧客毎に値引き額が違うのは如何なものかと思います。
でも残念ですが車業界は平等な値引き、同じ値引きは基本的にありません。
顧客毎に、商談毎に変わるのです。
つまりあなたの第一印象から話し方、商談の運び方などで値引きは変わってくるのです。
横柄な態度をとる方に値引きを出す営業マンはいません。
今後とも付き合っていきたいと思う方に売りたいのです。
これは全て私が営業マンだった時にやってきた事。
私は営業マン時代、お客を選んでいました。
売りたくない人には値引きも出しませんでした。
人間ですからそんなもんです。
みんなそうやっています。
逆に共通の趣味があったり、相性のいい方だと商談をしていても楽しいものでした。
『この人に安く売ってあげたい』って本当に思うんです。
だから結構ひいきもしましたし。
商談は『売る側』と『買う側』が気持ちよくないと値引きは発生しない。
いかにお互いが気持ちよく商談できるかがミソですね。
ギスギスした商談もたくさんありましたが、後味のいいもんじゃありません。
まとめ
車の値引きにおいてこの7つのポイントを押さえておけば『ムムッこいつ何者?』的な感じになって足元見られることもありませんしちゃんと値引きも出てきます。
ただしあくまで注意して欲しいのは『営業に嫌われないこと』です。
あまりゴリゴリに値引きを要求したり、商談を何回も何回も引っ張ったり競合しまくったりすると愛想つかされて逆に値引きが出なくなりますよ!